土木建材.com　構造物取り壊し/太平洋マテリアル株式会社ブライスター

１．ブライスターとは

　建設工事での岩石やコンクリートの破砕作業では、ダイナマイトを始めとする火薬類の使用や、大型ブレーカー等の利用が一般的であるが、これらは安全性や振動、騒音等の公害問題からその使用が困難になっております。
　この問題を解決すべく開発されたブライスターは、水との反応により発生する強力な膨張圧を利用し、簡単な取扱いで振動、騒音、飛石もなく岩石やコンクリートを静かに破砕するものです。

２．ブライスターの特性

　ブライスターとは、生石灰と珪酸塩を主成分とした無機系材料であり、生石灰特有の『水と反応すると膨張する』性質を利用し、安全に強力な膨張圧力を得るよう調整したものです。
その単体での体積膨張は2～3倍にもなり、膨張圧力は最終的には40Ｎ／mm2を上回る力を発生します
　これらの特性により、圧縮強度が200Ｎ／mm2にもなる硬岩でも破砕する能力を発揮します。

３．ブライスターの種類

３－１．標準タイプ（24時間程度※）　商品名：ブライスター

特徴　1.低公害で破砕　2.資格不要　3.破砕作業の効率化　4.計画破砕・水中破砕可能

３－２．短時間タイプ（1～3時間程度※）　商品名：パワーブライスター

特徴　1.短時間で破砕可能　2.低公害で破砕　3.資格不要　4.破砕作業の効率化　5.計画破砕・水中破砕可能

※亀裂発生時間は、標準的な使用量に基づくもので、被破砕体の性質、現場状況等により変動しますので、予めご了承願います。

■ブライスターによる岩盤破砕

破砕体：岩盤（中硬岩）
静的破砕剤：ブライスター200（冬用）
穿孔ピッチ：40㎝（φ40㎜）
撮影日時：平成16年3月

クラック伸長状況（4日目）	全景

	3/18ブライスター充填⇒3/19クラック伸長⇒3/22クラック幅増大（上記写真）

■ブライスターによる鉄筋コンクリート基礎破砕

破砕体：鉄筋コンクリート柱脚
静的破際剤：ブライスター200（冬用）　　　　　　　　　　　　　　　
穿孔ピッチ：20ｃｍ（φ40ｍｍ）
撮影日時：平成16年3月１日
工事場所　：ポリテクカレッジ滋賀

クラック伸長状況（4日目）	全景

	2/26ブライスター充填⇒2/28クラック伸長⇒3/1クラック幅増大（上記写真）

■ブライスターによる橋梁高欄破砕

破砕体：鉄筋コンクリート高欄
静的破際剤：ブライスター100（夏用）
穿孔ピッチ：35ｃｍ（φ40ｍｍ）
撮影日時：平成16年6月
クラック伸長状況（2日目）

全景

6/3ブライスター充填⇒6/3クラック伸長⇒6/4クラック幅増大（上記写真）

ブライスターによる鉄筋コンクリート基礎破砕について

近畿職業能力開発大学校
附属　滋賀職業能力開発短期大学校
住居環境学科
吉田競人

破砕対象とした部位はHPシェルに使用した鉄筋コンクリート柱脚である。平面形状は700x700、高さ500、主筋は12-D13フープはD13@200（pw=0.018%）、コンクリート設計強度はFc21である。破砕のためのブライスター注入用コア径はφ42、孔間隔は＠200である。
ブライスターによる柱脚上面の亀裂は、各々の孔を直線的に結ぶように生じたほか、柱脚角部については四隅に設けた孔から柱脚立ち上がり面の角に向かって生じた。これらの亀裂はその後も進展し続けた。平面上の亀裂幅は外周がもっとも大きく、内部の亀裂はフープにより拘束されているため、外周に比較して小さいものとなっている。この拘束状況は外周部コンクリートの一部を剥がすとフープが面外に湾曲していることにより確かめられる。また縦方向亀裂は、写真では四隅に生じた亀裂だけに見えるが、最終的には側面中央部に縦方向亀裂が生じ進展している。これはフープ筋中央部分の面外湾曲の増大に伴い生じたものである。
今回は鉄筋コンクリートフープの拘束を解除することなく、破砕をおこなったが、カッターや、穿孔機によりフープの一部を切除して破砕を行った場合、一層経済的にまた効率的に破砕が可能と思われる。