I 型スリットダムは、緩衝桁、フレーム構造(柱材、つなぎ梁、斜材)により構成されます。設計は平面上の問題として取り扱い、面内荷重はフレームで、土石流の偏心による面外荷重は柱材とつなぎ梁で構成される門型フレームで受け持ちます。
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1.緩衝桁 |
(1) |
礫による衝突エネルギーは、鋼管である緩衝桁の局部(凹み)変形により吸収します。また、緩和された衝撃力は、支点反力として結合エレメントに伝達されます。 |
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緩衝桁は、礫の衝突に対し、鋼管の局部(凹み)変形のみでエネルギー吸収を行ないます。また、塑性ヒンジ形成による折れ曲がり変形に至らないように設計します。 |
(3) |
緩衝桁は、両端単純支持梁として垂直および水平に、各々独立して配置します。また、管端部は礫の衝突による変形を原管と同等の性能を確保する目的でタイボルトを配置します。 |
2.フレーム |
(1) |
フレーム構造は、柱材、つなぎ梁および斜材にて構成します。 |
(2) |
結合エレメントは、鋼殻中詰めコンクリートを有した構造です。また、柱材・斜材およびつなぎ梁よりはるかに大きい剛性(断面二次モーメント)と強度(断面係数)を有しているため、部材を確実に結合する役割と共に緩衝桁の支承受け台としての役割も受け持つ部材です。 |
(3) |
結合エレメントと鋼管または鋼管と鋼管の結合は、高力ボルトフランジ接合継手とし、日本建築学会「高力ボルト設計施工指針」に基づき設計します。 |
3.越流落下する礫の斜材への衝突 |
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満砂越流状態の堆砂圧により斜材は負荷の状態にあるとして、この斜材に礫が越流落下衝突した場合の斜材および継手の安全性を照査します。 |
4.施工性 |
(1) |
部材数が少ないため、短期施工が可能です。 |
(2) |
ガイドブラケット・スライド架設法により、安全・確実・簡便に現場施工ができます。 |
5.適用範囲 |
(1) |
有効高さ2.0m程度の低い堰堤から堰堤高さ15.0mまでの幅広い対応が可能です。 |